日曜日, 2月 05, 2006

地獄少女 16話

今回は酷い話だった。
残酷とか陰惨という意味ではなく、話が酷いという意味だ。


今回はサーカスで働く双子の姉妹、ユミ(姉)とユキ(妹)がメインの話だ。
産まれてからずっと仲良しだったユミとユキは、サーカスの芸の特訓を受け始めて間もなく、ユキがユミを蹴落とす為に数々の妨害工作を行っていた。
結果、ユミは団長に折檻され、コンテナに閉じ込められるようになる。
一方のユキは団長に可愛がられ、綺麗な衣装を着せてもらい、お姫様のような扱いだ。
ユキにハメられたユミは、地獄通信にアクセスして、ユキを地獄に落とすように依頼した。



ユミ



ユキ


今回、酷いと思った点は、お仕置きを受けるユキが姉をハメた事をベラベラ説明しだした事だ。
この展開には開いた口がふさがらなかった。
それまでのシーンは何だったのかと、頭を抱えてしまった。
どうでも良い、団員の紹介や地獄少女の仲間達とのやり取りに無駄に時間を割き、肝心のユミとユキの確執を全く描かなかった。
恐らく、意外性を持たせる為に、双子とわからないような作りにしたのだろう。
だがそのせいで、お仕置きシーンでの説明という、酷い話となってしまった。
その為だろうか?僕はユキに同情してしまった。
ユキは何も悪い事をしていないではないか?と思ってしまった。
それというのも、ユキの口説明と、ユミの過去の回想でしかユキの悪さを表現していないからだ。
現在の状況でユキがユミを陥れる為の工作(箱抜けマジックでユミがヘタを打つような小細工)をしていれば、まだユミに同情できた。
そういう描写が一つでもあれば、後のユキの告白や、ユミの回想の妨害工作の描写に説得力を持たせられる。
視聴者は、ユキは長年そういう工作活動を行っていたのだろう、と想像する事ができるからだ。

もし、今回の話で意外性を出すとするならば、双子という意外性では無く、柴田が勘違いしたように、ユミが団長に憎しみを抱いているかのような描写をした方が効果的ではないだろうか?
例えば、
ユキを含んだ団員の前で、団長がユミを罵り叱り付けるシーンを入れる。
(地獄少女の目線=つぐみの目線。こうすれば、柴田にも事情が飲み込める)

「また失敗しおって!これで何度目だと思っているんだ!」
いつも仕置きに使っている鞭を振り上げる団長。
「お姉ちゃんをいじめないで!」
ユキがユミの前に立ち塞がり、団長に哀願する。
(もちろん、これは団長や団員に気に入られるようにする為の芝居だ)

ユキの後ろのユミが鋭い目つきで、 団長の方を睨みつける。
(ここで視聴者に、ユミは団長をうらんでいるように見せかける。 だが、実際にユミが睨みつけているのはユキである。)

一旦、団長はお仕置きを止めるが、 結局はコンテナでユミを折檻する。

後は本編と同じように進めて、最後にわら人形の紐を解いた後のシーン。

ユミの独り言で、ユキを地獄送りにした事を正当化するような台詞を言わせる。
「ユキがいけないのよ?・・・・あたしが貴女に何をしたっていうの?」
「どうして、ユキだけ団長に可愛がられるの?」
「双子なのに、どうしてあたしだけ団長にいじめられなきゃいけないの?おかしいよ・・・」

こんな風にすればまだマシだと思うのだが、如何だろう?


今回の脚本家は、ふたご姫でも脚本を書いている、福嶋幸典だった。
ついでに地獄少女で担当した話を見てみたが、4話(飼い犬を殺されたと少女の復讐話)と9話(パティシエの姉の復讐をする妹の話)だった。
いずれも人間描写が甘く、復讐する人間の行動や感情に納得のいかない話だった。
道理で今回も酷い訳だ。
妙に納得してしまった。

追記(2006/02/05)
昨日になって思い出した事がある。
それは「からくりサーカス」の1エピソード(からくりサーカス5巻「サーカス~猛獣使いの少女 第1幕~第7幕」)だ。
猛獣使いの少女が、老いたライオンと共に、凶暴なトラを倒すエピソードだ。
あらすじをかなり大雑把に書くと以下の通り。

彼女-タランダ・リーゼロッテ・橘-には双子の姉が居た。彼女達は双子の猛獣使いとして人気を博していた。
ある日、姉はビーストと呼ばれる凶暴なトラに、自分の目の前で殺されてしまった。

リーゼロッテは姉の仇をとる為、老ライオンのドラムを使ってビーストと戦い、苦戦を強いられるが勝利する。

このエピソードの中で、リーゼロッテの過去が明かされる。
リーゼロッテは、彼女の姉に言わせると猛獣も碌に扱えない、駄目な妹だ。
お前は姉の言う事を聞いていれば良いのだ、とも言われた。
リーゼロッテはそんな姉を憎み、いつか居なくなってしまえば、と思うようになった。
奇しくも彼女の願いは、ビーストによって叶えられた。
しかし、彼女の願いは叶えられたものの、姉の呪縛からは逃れられなかった。
何故なら、リーゼロッテの顔は、そのまま彼女の姉の顔でもあったからだ。
リーゼロッテは、その呪縛から逃れる為に、自分の命を捨ててビーストの気を引き、その隙にドラムにビーストを倒させようと思っていた。
それ以降のエピソードは割愛するが、僕が言いたいことは、このエピソードには、双子の姉妹という設定に、重大な意味がある、という事だ。
一方の地獄少女16話には、双子の姉妹という設定には全く意味が無い事が分かるだろう。
作品において、どんな設定を作るのは自由だ。
だが、その設定が話の中においてどれだけの意味を持っているのかを考えた上で、話を作るべきだと僕は思う。




見所









閻魔あい










つぐみ
























ユキとユミ


カテゴリ:地獄少女